ADとは?

「アスレチックデパートメント」とは?

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部活動が抱える大きな問題点

皆さんは「大学の部活動は"課外活動"である」ということをご存じでしょうか?

日本の大学の「部活動」は「任意団体」です。つまり「体育会」という組織も「サークル」と同じ状態にあります。部活動はあくまで課外活動であり、大学の正式な教育活動にはなっていないのです。

私たちが変えていきたいのはその点です。部活動が課外活動であることにより、以下のような問題が生じています。

(1)選手の負傷や事故、不祥事に対する責任

練習や試合中などに起こった選手の負傷や事故、不祥事の責任は誰が取るべきでしょう。大学でしょうか? 指導者でしょうか? それとも本人でしょうか?

部活動は大学の正式な教育活動ではないため、大学は具体的な判断基準を持っていません。多くの大学は「大学に責任はない」というスタンスを取っていますが、だからといってアメリカの大学のような「学生の自己責任である」という定義もありません。つまり、責任の所在は曖昧な状態です。多くの指導者や学生が負傷や事故の大きなリスクを抱えたまま、毎日の練習に励んでいるのが現状です。

(2)不透明な会計

部活動は部費やOB会費などの収入があり、加盟費や遠征費などの支出があります。つまり「部」には「収支」が存在します。しかし、大学の会計にこれらが現れることはありません。

また、大学はこれらの会計を管理する権限も責任も持っていません。トレーナーなどが部で雇用されていても、殆どの大学は認識さえしていない状態です。さらに、部の口座が個人の家で管理されていたり、口座名義人が監督個人になっていたりと、会計面でも様々なリスクを抱えています。

(3)規定のない人事

監督やコーチの選出についても、どのように選ばれているのか、どのような問題になると解任となるのか、基準が不明確な部も多くあります。また「OB会」が指導者人事を管理し、教育的観点よりも、属人的な繋がりで意思決定を行うケースも少なくありません。

上記(1)~(3)の他にも、いじめや体罰、学業の両立ができないなど、学生スポーツにはさまざまな問題が存在しています。日本の大学は責任を曖昧にし、これらの問題が起きるたびに場当たり的な対応を行ってきました。深刻な少子化を迎え、若者が益々貴重な財産となる時代において、この状況を一刻も早く改善せねばならない、と私たちは考えています。

大学スポーツを「正式な教育活動」に

私たちが目指しているのは、筑波大学の部活動を「大学の正式な教育活動」として明確に位置づけることです。

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お手本は、アメリカの大学スポーツです。アメリカの多くの大学には「アスレチックデパートメント(AD)」という運動部に対する会計、マーケティング、広報、施設管理、学生支援といった業務全般をマネジメントする部局が存在しています。筑波大学は2016年より、米国テンプル大学と共に「日本の大学内にADを設置する」ことの研究を重ねてきました。

健全な身体と心、優れた判断力やリーダーシップ。学生たちは部活動から、未来を生き抜くためのさまざまなヒントを得ることができます。つまり、部活動とは本来「教育そのもの」です。また、学生アスリートの活躍は大学のステイタスを高め、全ての学生や卒業生との一体感を生み出し、さらには地域社会にまで、さまざまな価値を創出できる存在です。

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それらを考慮し、私たちは部活動を大学の正課にし、大学が全ての責任を持つ構造を作っていきます。そして近い将来、部活動を大学の単位としても認定することも目指します。スポーツを大学の「玄関」へと育て、つくば市で育つ子どもたちや家族が「筑波大学のファンになる」。そんな地域と大学が一つになる素晴らしい社会を作り上げていきます。

この挑戦は、日本の大学で初の試みです。筑波大学はIMAGINE THE FUTUREの理念の元、自らが先頭に立ってアスレチックデパートメントの設立に取り組んで参ります。そして、今後「日本の全ての大学」にこの実績や手法を伝えることまでも掲げています。

スポーツによって大学も、地域も一つになる未来へ。

これが「アスレチックデパートメント」です。